今だからもう明かしても良いと思うが、私は苦渋の選択の上、【小説部門】は棄権票を投じた。というより、横山秀夫氏の『臨場』を読んでいないので、残念ながら投票資格がなかったのである(投票条件に基づく)。

 この日記を読んでいてくれる人なら知っているだろうが、私は、ミステリーは本格推理小説本格ミステリー)しか読まない(まあ、時々、サスペンスや私立探偵小説も読むが)。そのため、今年は投票したくてもできなかったのである。本来なら、綾辻さんの『暗黒館の殺人』に投票したかったのだが……。

『臨場』が本格ミステリではないということだろうか。読んでいないのになぜわかる。読んだ上で本格ミステリではない、ということを表明すればいいだけの話なのに。

暗黒館の殺人』に投票したかったのなら、棄権しなければいい。『生首に聞いてみろ』の受賞に納得できないという印象を受ける(もちろん、そのような意図はないんだろうが)。こういうことを明かすのは、大賞が決まる前ではないだろうか。

嫌なものでも読んで、それから選択する。そこで始めて苦渋の選択になると思う。権利の放棄が苦渋というのは、ちょっと違うだろう。結局、投票を棄権した言い訳をしたかったんだろうが、これじゃ、納得できない。